虫歯治療

Caries treatment

虫歯とは

虫歯は原因菌が酸を出し、歯を溶かすことで起きる病気です。一般的に、甘いものをよく食べる人ほど虫歯になるイメージをお持ちだと思いますが、その他にも様々な原因があり、

  • 食事の回数
  • 歯並び
  • 唾液の量
  • 歯磨きなどのセルフケア
 

などが挙げられます。
治療後もこのような虫歯のリスクを減らしていくことで、長く健康な状態を維持していきましょう。

歯を守るための診療システム

はじめに、十分な検査でご自身の口腔内環境を把握して頂きます。検査をもとに、虫歯や歯周病になりにくい環境へ改善するための適切なセルフケアと定期メンテナンスをご提案します。治療が必要な方には、再発のリスクを下げるための治療の選択肢を提示します。

虫歯になりやすい場所

虫歯になりやすい場所は、 歯と歯の間、歯の根元、詰め物と歯の接着部 の3箇所です。

歯と歯の間や根元は歯垢がつきやすく虫歯になりやすい場所です。特に歯の根元は、加齢によって歯茎が下がって露出してしまうと、酸に弱いため虫歯になりやすくなります。

また、詰め物がすり減ったり、剥がれたり、膨張したりすることで、詰め物と歯の間に隙間が生じると歯垢が溜まって虫歯になる恐れがあります。

虫歯になりやすい生活習慣と口内環境

生活習慣の乱れと口内環境の悪化によって、虫歯になりやすくなると言われています。

以下に虫歯になりやすい代表的な生活習慣と口内環境を示します。
当てはまる数が多いほど虫歯になる可能性が高くなります。

これらに1つでも当てはまる場合は、虫歯の早期発見のために治療後も3か月~6か月に1回程度の歯科検診をおすすめします。

生活習慣

  • ● 歯磨きは1日1回以下

    歯にプラークがたまりやすくなり、虫歯の原因菌の増殖を招きます。

  • ● 甘いものをよく食べる

    虫歯の原因菌は糖分を分解して酸を作るため、歯を溶かして虫歯になりやすくなります。

  • ● 間食が多い

    虫歯の原因菌が出した酸を唾液が中和する時間が短くなり、虫歯になりやすくなります。

  • ● しばらく歯科に行っていない

    初期段階の虫歯は痛みがないため、虫歯になっていても気付かないことがあります。

口内環境

  • ● 口の中がよく乾く

    殺菌作用のある唾液が不足しているため、虫歯の原因菌が住みつきやすくなります。血圧を下げる薬などを服用している場合、副作用で口の中が渇くこともあるため注意が必要です。

  • ● 歯並びが悪い

    歯並びがデコボコしていると、磨き残しが多くなるため、虫歯になりやすくなります。

  • ● 歯周病がある

    歯周病が進行して歯茎が下がると歯と歯の間に隙間ができてしまうため、そこにプラーク(歯垢)が溜まりやすくなります。また、酸に弱い歯の根元まで露出してしまうと虫歯になりやすくなります。

  • ● 被せ物や詰め物が多い

    詰め物と歯の間に隙間ができてしまうと、虫歯になりやすくなります。また、詰め物の内側に虫歯ができると、表面からは分かりにくいため注意が必要です。

大人の虫歯は治療した歯が原因

大人の虫歯は、過去に治療した箇所から再発していることが多く見受けられます。

虫歯の治療では、歯を部分的に削って詰め物や被せ物をします。治療から長い年数をかむことによる負荷や、熱い物や冷たい物など温度の変化により、金属が膨張や収縮を繰り返すことで、詰め物や被せ物が変形します。

すると、歯と詰め物や被せ物の間に隙間ができ、そこにプラーク(歯垢)が溜まります。そして、プラークの中にいる虫歯の原因菌により虫歯が再発します。この場合表面からは見えにくく、気づきにくいため、進行しやすいのが特徴です。

歯を削っている分、神経に近い場所で再発することが多く、痛みを感じて受診したときには神経まで菌が入り込んでいることも少なくありません。また、歯の詰め物や被せ物には寿命があるため、必要に応じて歯科医院で検査を受けることをおすすめします。

歯科での定期検査

歯は、どんなに丁寧に磨いても、本当に磨けているかどうかは自分で確認することができません。そこで重要になるのが歯科での定期検診です。定期検診では、虫歯の有無の確認、歯周病の検査、歯石の除去などが行われます。
また、正しい歯磨きの仕方や生活習慣の改善についてのアドバイスもしています。日常のセルフケアで歯垢をしっかり除去できれば、歯石も溜まらず虫歯や歯周病を防ぐことができます。

虫歯の有無の確認

歯科医が歯の状態を見て調べる視診を行い、必要に応じて歯のエックス線検査を行います。

歯周病の検査

歯周ポケットの測定と歯石やプラークのチェックを行います。

歯石の除去

歯石は、古くなった歯垢に唾液のミネラルが沈着して硬くなったものです。歯石になってしまうと歯磨きでは除去できないため、歯科医院で取り除く必要があります。

初期の虫歯に対する治療法

初期の段階であれば、虫歯は削らずに治療することができます。放っておくと、重度の虫歯に発展してしまうこともあるため、生活習慣の改善とフッ素を塗ることで虫歯の進行を抑えることができます。

虫歯の進行

Ce

初期虫歯とも呼ばれます。歯の表面が白くにごっている状態です。まだ元の健康な歯に戻る可能性がありますが、放っておくと治療が必要な虫歯に進行してしまうこともあります。歯に穴は開いておらず、痛みなどの症状はありません。

【Ce 治療法】ブラッシング指導やフッ素塗布

予防の基本が歯磨きです。
歯ブラシの当て方や動かし方、デンタルフロスや歯間ブラシの使い方などの指導とフッ素塗布を行います。

C1

歯の表面をおおっているエナメル質が脱灰している(歯が溶けている)状態です。痛みはあまり感じませんが、穴の開いた部分が茶色又は黒色に変色します。

大人の場合は経過観察する場合もあります。子供の場合は、フッ素塗布やシーラントで様子を見る場合もあります。

C2

象牙質の層にまで進んで穴があいている中等度の虫歯です。冷たい物を食べたり飲んだりすると歯がしみることもあります。この段階の虫歯は一気に進行することもあるので注意が必要です。

【C1~C2 治療法】虫歯を削る → 詰め物

虫歯の部分を削って詰める治療です。銀歯で詰める場合や、白い詰め物を使用する場合もあるのでご相談ください。

C3

虫歯が大きな穴になって象牙質のすべてに及び、歯髄(神経)まで達した虫歯です。神経が炎症を起こしたりすると、とても激しい痛みを伴います。

【C3 治療法】神経を取る → 被せ物

虫歯が歯の神経まで到達している場合に行います。神経を取ったあと、被せ物を着けます。

C4

歯が崩れて根っこだけが残ってしまった状態です。このままにしておくと顎まで細菌が入り込み、炎症を起こし歯茎が腫れたり痛むこともあります。

【C4 治療法】抜歯 → ブリッジ・入れ歯・インプラント

抜歯した後に行う治療としては、ブリッジ、入れ歯、インプラントがあります。それぞれ長所、短所がありますので、よく説明を聞いて、理解したうえで選ぶことが大切です。

虫歯の進行

Ce

初期虫歯とも呼ばれます。歯の表面が白くにごっている状態です。まだ元の健康な歯に戻る可能性がありますが、放っておくと治療が必要な虫歯に進行してしまうこともあります。歯に穴は開いておらず、痛みなどの症状はありません。

C1

歯の表面をおおっているエナメル質が脱灰している(歯が溶けている)状態です。痛みはあまり感じませんが、穴の開いた部分が茶色又は黒色に変色します。

C2

象牙質の層にまで進んで穴があいている中等度の虫歯です。冷たい物を食べたり飲んだりすると歯がしみることもあります。この段階の虫歯は一気に進行することもあるので注意が必要です。

C3

虫歯が大きな穴になって象牙質のすべてに及び、歯髄(神経)まで達した虫歯です。神経が炎症を起こしたりすると、とても激しい痛みを伴います。

C4

歯が崩れて根っこだけが残ってしまった状態です。このままにしておくと顎まで細菌が入り込み、炎症を起こし歯茎が腫れたり痛むこともあります。

進行度に合わせた虫歯の治療

歯は再生しにくい組織なので、できるだけ削らずに歯を保持することが現在の虫歯治療の基本です。歯磨きの指導とともに、虫歯の進行度合いに合わせた治療が行われます。虫歯が進行していて、歯を削る必要がある場合は、以下のような治療を行います。

ブラッシング指導やフッ素塗布(Ce)

虫歯の治療と予防の基本が歯磨きです。歯ブラシの当て方や動かし方、デンタルフロスや歯間ブラシの使い方などの指導とフッ素塗布を行います。

虫歯を削る → 詰め物(C1~C2)

虫歯の部分を削って詰める治療です。銀歯で詰める場合や、白い詰め物を使用する場合もあるのでご相談ください。

神経を取る → 被せ物(C3)

虫歯が歯の神経まで到達している場合に行います。神経を取ったあと、被せ物を着けます。

抜歯 → ブリッジ・入れ歯・インプラント(C4)

抜歯した後に行う治療としては、ブリッジ、入れ歯、インプラントがあります。それぞれ長所、短所がありますので、よく説明を聞いて、理解したうえで選ぶことが大切です。

銀歯にしたくない方へ(金属を使わないメタルフリー治療)

メタルフリー治療のメリット

歯科医院で治療した歯に使われた金属が原因で金属アレルギーになる方がいらっしゃいます。皮膚の湿疹、かぶれ、肌荒れ、アトピー性皮膚炎、関節痛、慢性疲労は、金属アレルギーが原因かもしれません。

保険に使われる銀歯が劣化すると、唾液でアレルギーの原因物質が溶け出して手足の発疹等の症状を引き起こします。オールセラミックスの詰め物・被せ物は銀歯のようにアレルギーの原因物質が溶け出さないため、金属アレルギーのリスクはほとんどありません。

金属アレルギーの症状は、すぐに出る方もいれば、治療からしばらく経って出る方もいらっしゃいます。金属アレルギーの診断を受けた方であれば、銀歯を外して症状が改善する可能性もあります。

金属を使わないメタルフリー治療に用いられるセラミックスは汚れがつきにくいため、虫歯再発のリスクを抑えることができます。金属アレルギーや銀歯の色が気になる患者さんのために、当院ではメタルフリー治療を行なっています。

メタルフリー治療のデメリット

金属を使わないためアレルギーの心配もなく、良い治療だと思われるかもしれませんが、保険適用外となりますので自費診療となります。

大きな力がかかる大臼歯や歯ぎしりがある場合などでは材料が欠けやすい場合もあります。

症例によって使用する材料や治療法が限られることもありますので、詳しくはご相談ください。

セラミックスについて

セラミックスは汚れがつきにくいため、虫歯の再発(二次カリエス)リスクを抑える効果が期待できます。また、天然の歯に近い色で作ることもできるため、銀歯や銀の詰め物と比べて白く美しい歯にすることもできます。

セラミックスの特徴

  • 自然の歯の色に近くきれい
  • 摩耗しにくい(耐久性がある)
  • 着色・変色しにくい
  • 表面がつるつるしているので汚れが付きにくい
  • ● 目立っている銀歯を白いセラミックスに

    以前は詰め物や被せ物に金属を使用することが多かったため黒く目立ってしまうことがありました。 そんな銀歯の見た目を気にされている方は、現在入っている銀歯を白くて綺麗なセラミックスに変えることもできます。 特に下あごの銀歯は目立ちますので、その部分を白い歯に変えるだけでもかなり見栄えが違います。

  • ● 一度治療した個所が再度虫歯になってしまう「二次カリエス」

    一度治療したところが再度虫歯になってしまうことがあります。 これを二次カリエスと言います。 詰め物や被せ物と歯の間に虫歯が広がっているので、虫歯の箇所をきれいに削ってセラミックスを装着します。セラミックスは銀の詰め物に比べて汚れが付きにくく虫歯になりにくいため二次カリエスの予防に効果的です。

メタルフリー治療で主に使う材料

セラミックインレー

「インレー」とは削り取った後の詰め物のことです。虫歯を部分的に詰める時に、歯の色に近いセラミックスで詰めることで、治療した部分が自然で目立ちません。

e.max(クラウン)

e.maxは金属アレルギーの心配がなく、汚れがつきにくいため虫歯の再発リスクを抑えることができます。奥歯以外に適した材料で、見た目も自然な色調で回復することができます。

ジルコニア(クラウン)

ジルコニアは金属アレルギーの心配がなく、汚れがつきにくいため虫歯再発のリスクを抑えることができます。割れにくいため特に奥歯に適しています。

ジルコニアは、色調により使用する材料、作製方法が異なります。

  • ● 単色

    あらかじめ指定された色のセラミックスのブロックを削り出して作成します。色が単調で天然歯とは色調が異なるため、目立ちにくい奥歯の治療に使用されます。

  • ● マルチレイヤー

    複数の色の層でグラデーションを付けたセラミックスのブロックを削って作成します。前歯などでも特殊な色調でなければ、単色に比べて自然な見た目を回復することができます。

  • ● レイヤリング

    ジルコニアに色調の調整が可能な陶材を盛りつけて作製します。細かな色の調整が可能なため、前歯などの目立つ箇所や特殊な色調でも自然な見た目を回復することができます。

ファイバーコアとメタルコア

コアとは歯根(歯の根っこ)の強度をあげるため、歯根を削って入れる土台のことです。
土台の材料に金属を使わず、グラスファイバーを用いた物がファイバーコアです。

  • ● ファイバーコアの利点

    • 色が白いのでかぶせ物をした時に透明感が出てきれい。
    • 歯茎や歯の根っこが黒ずむことがない。
    • 硬さが歯の根っこに近く、またしなる性質があるのでメタルコアと比べて根っこが割れる可能性が低い。
    • 金属アレルギーがない。

  • ● ファイバーコアの欠点

    • 歯の根っこの残っている量が少ない時はできない。

  • ● メタルコアの利点

    • 歯の根っこの残っている量が少ない時でも使用できる。

  • ● メタルコアの欠点

    • 銀が含まれているので、周りの歯茎や歯の根っこが黒ずむことがある。
    • 硬く、しならないため、ファイバーコアと比べて根っこが割れる可能性が高い。
    • オールセラミックス等の透明感がある被せ物を使用する場合、土台の金属色が透けて暗く見えることがある。

料金表(税込)

詰め物
ジルコニア・e.max66,000円
被せ物
e.maxクラウン88,000円


ジルコニア
単色66,000円
マルチレイヤ―88,000円
レイヤリング110,000円
メタルボンド77,000円
コア
神経の治療を行なった場合に下記のいずれかを選んでいただきます
ファイバーコア8,800円
メタルコア5,500円

歯を失った時の治療方法

義歯(入れ歯)

取り外し式の部分義歯を歯肉の上に直接置き、周囲の歯にクラスプ(金属のバネ)で固定して噛めるようにします。

  • メリット

    ・脱着式のため食事の度に外して洗うことが可能。

  • デメリット

    ・健康な歯に金具で固定するため、支えとなる歯に大きな負担がかかってしまうことがある。
    ・入れ歯を固定する金具が口元から見えてしまう場合もある。

ブリッジ

両隣の歯を削って人工歯とつながったかぶせ物で固定する方法です。

  • メリット

    ・入れ歯のように取り外しの必要がない。
    ・入れ歯のようなクラスプ(金属のバネ)や床(ピンクのプラスチック部分)が無い為、入れ歯のような違和感がほとんどありません。

  • デメリット

    ・両隣が健康な歯であっても削る必要がある。
    ・支える歯に大きな負担がかかる場合がある。
    ・保険では素材が限られるため、部分的には銀歯になる。

インプラント

顎の骨にインプラントを埋入し、人工歯を骨に直接固定する方法です。

  • メリット

    ・顎に直接固定されているのでしっかりと噛むことができ、入れ歯のような違和感はほとんどない。
    ・独立した人工の歯根を埋入するので、隣の健康な歯に負担がかからず、隣の歯を削ることもない。

  • デメリット

    ・手術が必要になる。
    ・入れ歯やブリッジと比較して治療期間が長くなる場合がある。

自分でできる毎日の虫歯ケア

虫歯の予防には定期検診だけではなく、日常的なセルフケアが何よりも重要です。正しい歯磨きや食の嗜好を見直し、食べ方を改善すること。そして定期的な検診を心がけましょう。

セルフケアのポイント

正しい歯磨きで虫歯の原因となるプラークをしっかり落とすことが大切です。歯の隙間にはフロスや歯間ブラシも使いましょう。フッ素入りの歯磨き粉やうがい薬を使うのも効果的です。

生活習慣の改善ポイント

甘い物や酸性のものが好きな人はだらだら食べないように気をつけましょう。甘い物はもちろん、酸性の物も歯を直接溶かしてしまうため、虫歯になりやすくなります。

甘い物や酸性の物を口の中に含んでいると歯が溶けやすくなるため、間食を減らす必要があります。また、食べた後にブラッシングを行うことも虫歯予防に効果的です。

ブリッジ

ブリッジとは欠損した所の両隣の歯を削り、それを土台とした被せ物で欠損した所を補う治療です。
欠損部のダミーの歯は3本一体で、入れ歯のような取り外し式ではないので、違和感が少なく治療自体はシンプルです。

  • ● ブリッジの利点

    • 欠損部分の前後に歯があれば治療可能。
    • 歯肉の切開など外科的な処置の必要がない。
    • 治療期間が比較的短い

  • ● ブリッジの欠点

    • 歯がない所の前後の歯を土台にするため、全周にわたって1~1.5mm程度削る必要がある。
    • 土台となる歯の虫歯リスクが高まる。
    • 保険では素材が限られるため、部分的には銀歯になる。